関節リウマチとは…どんな病気?
関節リウマチは一般的に女性に多い病気と言われ、全国で70万人~100万人とも言われております。
発症には遺伝的要因であったり、喫煙や歯周病をおこす感染の関連などの環境要因も指摘されておりますが、明確な原因は分かっておりません。
関節リウマチは、指や膝、肘など全身のさまざまな関節に痛みやはれ、朝のこわばりなどの症状が起きるようになります。また、放っておくと細やかな作業や歩行がしづらくなるなど、身体の機能障害を起こしてしまい、日常生活にも支障をきたすようになってしまいます。一度、関節が壊れてしまうと元に戻らなくなってしまいます。
関節の破壊は発症後早期に急激に進行してしまいます。
このため、関節リウマチの治療は出来るだけ早く始めて関節の進行が進まないようにすることが大切です。
関節リウマチの原因:炎症
免疫が関与していると言われております。免疫は普段、ウイルスや細菌などの異物から体を守っている、大切な 生体内の仕組みです。関節リウマチになると、免疫は自分自身の関節の組織を異物と勘違いして攻撃してしまいます。このために関節に炎症が起こり、関節の痛みや腫れ、さらには関節の破壊を生じるようになってしまいます。

炎症を起こす物質:TNF-αなどの炎症性サイトカイン
このTNF-α(ティーエヌエフ-アルファ)が炎症の原因物質と言われております。このTNF-αは関節の痛みや腫れ、関節破壊を起こすだけでなく、さらに他の炎症を起こす物質(炎症性サイトカイン)を作らせて関節リウマチを悪化させる働きもあります。
TNF‐αや他の炎症性サイトカインの働きを抑えて炎症を鎮めることが、関節リウマチ治療には大切なのです。
関節リウマチ治療のための生物学的製剤は国内で7つあります。患者様の身体の状態や生活スタイルに合ったお薬を、医師と相談の上、選択致します。
- レミケード(インフリキシマブ)・・・抗TNF抗体、点滴(1回/8週)
- エンブレル(エタネルセプト)・・・可溶性TNF受容体、皮下注(1-2回/週)
- アクテムラ(トシリズマブ)・・・ヒト化抗IL-6抗体、点滴(1回/4週)、皮下注(1回/2週)
- ヒュミラ(アダリムマブ)・・・ヒト型抗TNF抗体、皮下注(1回/2週)
- オレンシア(アバタセプト)・・・CTLA4-lg、点滴(1回/4週)、皮下注(1回/週)
- シンポニー(ゴリムマブ)・・・ヒト化抗TNF抗体、皮下注(1回/4週)
- シムジア(セルトリズマブぺゴル)・・・ペグ化抗TNF抗体、皮下注(1回/2週)
寛解を達成する
かつて関節リウマチの進行は止めることが出来ないとも考えられていました。しかし、1999年にメトトレキサート(MTX)が関節リウマチに対して適応追加され、2003年に生物学的製剤の国内発売が開始されたことで、関節リウマチの治療目標は「痛みを抑えること」から「寛解導入」へと変わりました。
「寛解」とは病気の症状がほぼ消失し、臨床的にコントロールされた状態を意味します。関節リウマチおいては3つの寛解を治療目標としています。
- 炎症と自他覚症状の消失を意味する臨床的寛解
- 関節破壊の進行がほとんど止まることを意味する構造的寛解
- 身体機能の維持を意味する機能的寛解
この目標が達成できれば、ライフスタイルを変えることなく、普段通りの日常生活を送ることが出来るようになります。
治療中に気をつけること
生物学的製剤は感染を防御する身体の免疫機能に影響を及ぼすので感染症にかかりやすい状態になっています。普段からうがいや手洗いを心掛け、体調の変化があったらすぐに医師に連絡してください。
日常生活で心掛けること
- 適度な運動と十分な栄養、休養を取り、体力、抵抗力を保つ
- こまめなうがいや手洗い
- 風邪やインフルエンザの流行時にはマスクを着用し、医師と相談の上、予防接種を受ける
- 禁煙する(喫煙は呼吸器疾患にかかりやすくさせます)
- 外科的な処置(歯の治療や手術)を受ける時は主治医に相談する
- 定期検診を欠かさない
- 体調の変化に気を付ける(発熱や風邪のような症状が見られたらすぐに連絡してください)
- 不安なことがあれば、医師、看護師、薬剤師等に相談ください。